2. 自分に最適のマニュアルを見つける

Linuxに関する自分の知識レベルに適したマニュアルを参照することが大切です。 レベルに合わないマニュアルでは 内容に圧倒されたり、逆に疑問に答えてくれる情報が見つからなかったりします。 Red Hat Enterprise Linux リファレンスガイド では、 より技術的に掘り下げた内容やRed Hat Enterprise Linuxシステムのオプションについて説明します。 本セクションでは、必要な情報が本書で見つかるか、 又はオンラインソースを含めて他のRed Hat Enterprise Linuxマニュアルを参照するべきか、 判断材料を提供します。

Red Hat Enterprise Linuxを使用するユーザーには3つの異なるカテゴリーがあり、各カテゴリーはそれぞれ異なる ドキュメントと情報ソースが必要になります 。 どこから開始すべきか判断するには、自分の経験レベルを確認してみてください:

Linuxを初めて使用する

これまでにLinux(またはLinuxに類する)オペレーティングシステムをまったく使用したことがないか、 Linuxの経験がごくわずかしかないユーザーです。他のオペレーティングシステム(Windowsなど)を使用した経験があるユーザー、ないユーザー両方が含まれます。これに該当しますか? 該当する場合は、 項2.1に進んでください。

Linuxの経験が少しある

これまでにLinuxをインストールし、正常に使用したことがある(ただしRed Hat Enterprise Linuxは未経験な)ユーザーと、 Linuxに類する他のオペレーティングシステムで同様な経験があるユーザーです。 これに該当しますか? 該当する場合は、 項2.2に進んでください。

Linuxの十分な経験がある

これまでにRed Hat Enterprise Linuxをインストールし、正常に使用したことがあるユーザーです。該当する場合は、 項2.3に進んでください。

2.1. Linuxが初めてのユーザーのためのマニュアル

Linuxが初めてのユーザーのために、プリント、システムの起動、ハードディスクのパーティション設定など、 あらゆるテーマに関して用意された情報の量は、たぶん混乱を招くでしょう。最初は1歩下がって、これらの 上級レベルの情報をアタックする前に、Linuxの動作に中心を置いた知識を基本から習得していくことが これからの助けになります。

最初の目標は、役立つドキュメントをいくつか用意することです。 この点についてはいくら強調しても、 強調しすぎることはありません。 ドキュメントがなければ、思いどおりにRed Hat Enterprise Linuxシステムを動かすことができない自分にいらだちを感じるだけです。

必要な種類のLinuxマニュアルは以下のとおりです。

The Red Hat Enterprise Linux インストールガイドは、Red Hat Enterprise Linuxシステムを正しくインストールし、初期化するのを助ける優れた リファレンスです。 基本的なシステム管理を学んでいる人は、Red Hat Enterprise Linux システム管理入門ガイド から始めるとよいでしょう。 この2冊の本からスタートして、Red Hat Enterprise Linuxの知識の基盤を作ってください。 基本が理解できれば 長くて複雑な概念も明確に分るようになります。

Red Hat Enterprise Linuxマニュアルの他にも、 無料またはほとんど無料で、 優れたドキュメントリソースを利用することができます。

2.1.1. Linux Webサイト

  • http://www.redhat.com/ — Red Hat社のWebサイトには、Linux Documentation Project(LDP)、Red Hat Enterprise Linuxマニュアルのオンライン版、FAQ(よくある質問)、最寄りのLinuxユーザーグループの検索に役立つデータベース、Red Hat Support Knowledge Baseに格納された技術情報、などへのリンクがあります。

  • http://www.linuxheadquarters.com/ — Linux本社のWebサイトで、簡単に理解できるLinuxタスクの手順ガイドが参照できます。

2.1.2. Linuxニュースグループ

問題の解決に挑戦する参加者の議論をウォッチするか、あるいは積極的に質問をポストしたり、 他の参加者の質問に答えたりすることで、ニュースグループに参加できます。経験の深いLinuxユーザーは、 さまざまなLinux問題で新規ユーザーを手助けできる際立った存在として知られています。— 特に妥当な場所での真剣な疑問に対しては、なおさらです。ニュースリーダーアプリケーションが 利用できない場合は、以下のWebサイトでこの情報にアクセスすることが出来ます。http://groups.google.com/. Linux関連のニュース グループは数十も存在します。主に以下のようなものがあります:

  • linux.help—経験豊富なLinuxユーザーから助言が得られる最高の場所です。

  • linux.redhat — 主として、Red Hat Enterprise Linuxに関する諸問題をカバーするニュースグループです。

  • linux.redhat.install—インストールについての質問をポストする、また他のユーザーが同様の問題をどう解決したか検索する、などに適したニュースグループです。

  • linux.redhat.misc—上に掲げた在来の分類から外れる質問や、ヘルプをポストするニュースグループです。

  • linux.redhat.rpm — ある目的でRPMを使用していた時に問題が発生した場合、役に立つサイトです。

2.1.3. Linuxの入門書

  • Red Hat Linux for Dummies, 2nd EditionJon "maddog" Hall著、IDG刊

  • Special Edition Using Red Hat LinuxAlan Simpson、John Ray、Neal Jamison共著、Que刊

  • Running LinuxMatt Welsh、Lar Kaufman共著、O'Reilly & Associates刊

  • Red Hat Linux 9 Unleashed Bill Ball、Hoyle Duff共著、Pearson Education刊

上に挙げた書籍は、いずれもRed Hat Enterprise Linuxシステムの基本知識に関する優れた情報源です。本書で説明するさまざまな項目に関して、さらに詳しい情報が知りたい場合は、多くの章にあるその他のリソースのセクションに掲げる書籍一覧を参考にしてください。

システム管理者を希望する方に最適なリソースの1つが Red Hat Enterprise Linux システム管理入門ガイドです。この本はRed Hat Enterprise Linux管理の方策について説明しており、 システム管理の基本を勉強する方に最適です。

2.2. 経験のあるユーザーのためのマニュアル

他のLinuxディストリビューションを使った経験がある場合、最もよく使用されるコマンドについては基本的な知識があるものと考えられます。自分でLinuxシステムをインストールしたことがあるか、インターネットで見つけたソフトウェアをダウンロードしてコンパイルしたことがあるユーザーもいるはずです。しかし、Linuxのインストール後も、システム設定の問題で混乱することがしばしばあります。

The Red Hat Enterprise Linux システム管理ガイドは、特定の目的を達成するためのさまざまなRed Hat Enterprise Linuxシステムの設定方法を説明します。 このマニュアルにて設定オプションとその利用法について学ぶことができます。

Red Hat Enterprise Linux システム管理ガイドで扱われていないソフトウェアをインストールする場合は、似たような環境のユーザーどう対応したか分ると参考になります。次のサイトから利用できるLinux Documentation ProjectのHOWTO文書 http://www.redhat.com/mirrors/LDP/HOWTO/HOWTO-INDEX/howtos.html は、低レベルカーネルの難解な変更から、アマチュア無線局の運営にLinuxを使用する方法まで、さまざまな側面を説明しています。

セキュリティ問題のよいソースは Red Hat Enterprise Linux セキュリティガイドです— Red Hat Enterprise Linux保護の方策や措置について明確に説明しています。

2.3. Linux精通者のためのマニュアル

古くからのRed Hat Enterprise Linuxユーザーであれば、特定のプログラムを理解する最善の方法の1つが、ソースコードあるいは設定ファイルの精読だとわかっているはずです。しかもRed Hat Enterprise Linuxの最大の利点は、だれでもソースコードが入手できることにあります。

明らかに、すべての人がプログラマーではありませんから、ソースコードは多分、ユーザーには 役に立たないかも知れません。しかし、これを読むだけの知識と能力が有れば、ソースコードは すべての答えを持っています。