レスキューモードは、システムのハードドライブからブートする代わりに、フロッピーディスク、 CD-ROM、又は、他のブート方法で小規模のRed Hat Enterprise Linux環境を完全にブートする機能を提供します。
名前が示すように、レスキューモードは、ある状態からユーザーをレスキュー(救助)するためのものです。通常の動作では、Red Hat Enterprise Linuxシステムはプログラムの実行、ファイルの保存など、すべての操作を行うのにシステムのハードドライブにあるファイルを使用します。
しかし、システムのハードドライブのファイルにアクセスするのに充分にRed Hat Enterprise Linuxを稼働することができない時もあり得ます。レスキューモードを使用すれば、実際にはハードドライブから直接 Red Hat Enterprise Linuxを実行できなくてもシステムのハードドライブ上に保存してあるファイルにアクセスできます。
レスキューモードでブートするには、以下の方法のいずれかを使用してシステムをブート できる必要があります:
インストールブートディスケット(フロッピー)からシステムをブートする。[1]
インストールブートCD-ROMからシステムをブートする。 [1]
Red Hat Enterprise LinuxのCD-ROM 1枚目からシステムをブートする。
上記のいずれかの方法でブートしたら、カーネルパラメータとしてrescue のキーワードを追加します。例えば、x86システムなら、 インストールブートプロンプトで次のコマンドを入力します。
linux rescue |
使用する言語など、幾つかの簡単な質問に答えるように要求されます。また、 有効なレスキューイメージの場所を選択するように要求されます。 Local CD-ROM、Hard Drive、 NFS image、FTP、HTTP の中から選択します。選択した場所には有効なインストールツリーが含まれている必要があり、 また、ブート元になる Red Hat Enterprise Linux CD-ROM 1枚目と同じRed Hat Enterprise Linux バージョン のインストールツリーでなければなりません。 レスキューモードを開始するのに、ブートCD-ROMかブートディスケット(フロッピー)を使用した場合は、 インストールツリーはそのメディアの作成元であるツリーと同じである必要があります。 ハードドライブ、NFSサーバ、FTPサーバ、HTTPサーバなどでインストールツリーを 設定する方法については、Red Hat Enterprise Linux インストールガイドを参照してください。
ネットワークの接続を必要としないレスキューイメージを選択した場合は、ネットワーク 接続を使用したいかどうかを尋ねられます。ネットワークの接続は例えば、別のコンピュータに バックアップをしたり、共有ネットワークの場所からRPMパッケージをインストールしたり するのに役に立ちます。
そして、次のようなメッセージが表示されます:
The rescue environment will now attempt to find your Red Hat Linux installation and mount it under the directory /mnt/sysimage. You can then make any changes required to your system. If you want to proceed with this step choose 'Continue'. You can also choose to mount your file systems read-only instead of read-write by choosing 'Read-only'. If for some reason this process fails you can choose 'Skip' and this step will be skipped and you will go directly to a command shell. |
Continueを選択すると、ファイルシステムを/mnt/sysimage/ディレクトリにマウントしようとします。パーティションのマウントが失敗した場合、その通知があります。Read-Onlyを選択すると、ファイルシステムを/mnt/sysimage/ディレクトリにマウントしようとしますが、読み取り専用モードです。Skipを選択すると、ファイルシステムはマウントされません。ファイルシステムが破損していると思われる場合は、Skipを選択します。
システムがレスキューモードに入ると、VC(仮想コンソール)1とVC 2に次のプロンプトが表示されます(VC 1にアクセスするには
sh-2.05b# |
Continueを選択した場合はパーティションが自動的にマウントされ、正常にマウントされると、システムはシングルユーザーモードに入ります。
ファイルシステムがマウントされていても、レスキューモードにいる間のデフォルトのルートパーティションは 一時的なルートパーティションであり、通常のユーザーモード(ランレベル 3から5)で使用するファイルシステムの ルートパーティションではありません。ファイルシステムをマウントする選択をして正常にマウントすると、 以下のコマンドを使用することによって、レスキューモード環境のルートパーティションをファイルシステムの ルートパーティションに変更することが出来ます。
chroot /mnt/sysimage |
これは、ルートパーティションが/としてマウントされることが 要求されるrpmコマンドを実行する必要が有る場合に役に立ちます。 chroot環境を終了するには、 exitと入力するとプロンプトに戻ります。
Skipを選択した場合でも、まだレスキューモードの中で手動で パーティションをマウントすることが出来ます。これは/foo などのディレクトリを作成して、次のコマンドを使用して実行します:
mount -t ext3 /dev/hda5 /foo |
上記のコマンドで、/fooはユーザーが作成したディレクトリ、/dev/hda5はマウントするパーティションです。パーティションがext2タイプの場合、ext3ではなくext2を指定します。
パーティションの名前が不明な場合は、次のコマンドを実行すれば一覧が表示されます。
fdisk -l |
プロンプトから、次のような多くの役に立つコマンドを実行することが出来ます。
list-harddrivesシステム内のハードドライブを一覧表示します
ssh、scp、ping ネットワークが開始している場合
dump と restoreテープドライブのユーザー用
parted と fdisk パーティションの管理用
rpm ソフトウェアのインストール又はアップグレード用
joe設定ファイルの編集用。 (他のポピュラーなエディタである emacs、 pico、あるいは viなどを スタートしようとするとjoeエディタが開始されます。)
[1] | 詳細については、Red Hat Enterprise Linux インストールガイドを参照してください。 |