第 26章. Apache HTTP サーバー の設定

Red Hat Enterprise Linux では、Apache HTTP サーバー バージョン 2.0 を提供しています。 既存の設定オプションファイルを手動で転換したい場合は、 /usr/share/doc/httpd-<ver>/migration.html、またはRed Hat Enterprise Linux リファレンスガイド で詳細を参照してください。

Red Hat Enterprise Linux の旧バージョンで、HTTP 設定ツールを使用して、Apache HTTP サーバーを設定し、アップグレードを行なった場合は、 HTTP 設定ツールを使用して、 設定ファイルをバージョン 2.0の新しい形式に転換できます。HTTP 設定ツールを開始して、 設定に必要な変更を行ない保存します。保存された設定ファイルはバージョン 2.0との互換性があります。

HTTP 設定ツールを使用すると、Apache HTTP サーバー用の設定ファイルである/etc/httpd/conf/httpd.confを 設定することが出来ます。古いsrm.confファイルや access.confファイルは使用しないで、空の ままにしておきます。グラフィカルインターフェイスを通して、仮想ホスト、ログの属性、及び接続の最大数などのディレクティブが設定できます。

HTTP 設定ツールで設定できるのは、 Red Hat Enterprise Linux で提供されているモジュールのみです。 追加モジュールがインストールされる場合、このツールでは設定できません。

HTTP 設定ツールを使用するには、 httpdredhat-config-httpd RPMパッケージをインストールする必要があります。また、X Window System 及び root権限も必要です。 このアプリケーションを起動するには、メインメニューボタン =>システム設定 =>サーバ設定 =>HTTPと進みます。あるいは、シェルプロンプト(例えば、XTerm や GNOMEターミナルなど)でredhat-config-httpdと入力します。

注意注意
 

このツールを使用する場合は/etc/httpd/conf/httpd.conf設定ファイルを手動で編集しないで下さい。 このファイルは、ユーザーが変更を保存してこのプログラムを終了した後で、HTTP 設定ツールに よって生成されます。HTTP 設定ツールで提供されていない追加のモジュールや設定オプションを 追加したい場合、このツールは使用できません。

HTTP 設定ツールを使用してApache HTTP サーバーを設定する一般的な手順は次のとおりです:

  1. メインタブで基本設定値を設定します。

  2. 仮想ホストタブをクリックして、デフォルト設定を設定します。

  3. 仮想ホストタブで、デフォルトの仮想ホストを設定します。

  4. 複数のURLや仮想ホストを提供したい場合は、その分の仮想ホストを追加します。

  5. サーバタブでサーバー設定値を設定します。

  6. パフォーマンスの調整タブで接続設定値を設定します。

  7. 必要なファイルをすべてDocumentRootディレクトリとcgi-binディレクトリにコピーします。

  8. アプリケーションを終了して、その設定を保存する選択します。

26.1. 基本設定

メインタブで、サーバーの基本設定値を設定します。

図 26-1. 基本設定

サーバ名のテキストフィールドに、自分が使用権限をもっているドメインの完全修飾ドメイン名を入力します。 このオプションは、httpd.confServerNameディレクティブに 相当します。ServerNameディレクティブは、Webサーバーのホスト名を設定します。このサーバー名は、URLへの リダイレクトを作成するときに使用されます。サーバー名を定義しなかった場合、WebサーバーはシステムのIPアドレスを元に名前解決を 試みます。サーバー名は、サーバーのIPアドレスを元に解決されたドメイン名と一致している必要はありません。たとえば、サーバーの 実際のDNS名がfoo.example.comであっても、サーバー名をwww.example.comと設定することができます。

管理者のメールアドレスのテキストフィールドには、Webサーバーの管理者の電子メールアドレスを入力します。このオプションは、httpd.confServerAdminディレクティブに相当します。サーバーのエラーページに電子メールアドレスを表示するように設定すると、この電子メールアドレスが使用されます。したがって、ユーザーはサーバーの管理者に電子メールを送信して、問題を報告することができます。デフォルト値はroot@localhostです。

使えるアドレスエリアには、着信した要求を受け取るサーバ上のポートを定義します。このオプションは、httpd. confListenディレクティブに相当します。 デフォルト設定では、 Red Hatは Apache HTTP サーバーを設定してセキュリティのないWeb通信用のポート80を監視します。

追加ボタンをクリックすると、 要求を受け入れる追加ポートを定義できます。 図26-2 に示してあるようなウィンドウが表示されます。全アドレスに Listenするオプションを選択して、ポートに定義してある全てのアドレスを監視するか、あるいは サーバが接続を許可する一意のIPアドレスをアドレスフィールドの中に指定します。 IPアドレスは、ポート番号毎に1つだけ指定します。同一のポート番号に対して複数のIPアドレスを指定したい場合は、 各IPアドレス用にエントリを1つ作成します。DNSルックアップ失敗を防ぐために、もし可能ならドメイン名の代わりに IPアドレスを使用して下さい。 DNS と Apacheに関する事項についての詳細情報はhttp://httpd.apache.org/docs-2.0/dns-caveats.htmlで 御覧下さい。

アドレスフィールドにアスタリスク(*)を挿入することは、全アドレスにListenするを 選択したことになります。使えるアドレスのフレームの中の編集ボタンをクリックすると、 選択済のエントリがフィールドにあること以外は、追加ボタンを押した時と同じ画面が表示されます。エントリを 削除するには、それを選択して削除ボタンをクリックします。

ティップヒント
 

1,024より小さい番号のポートを監視するようにサーバを設定する場合は、rootとして起動しなければなりません。番号が1,024以上のポートの場合は、一般のユーザーとしてhttpdを起動できます。

図 26-2. 使えるアドレス